MH4』開発秘話"ゲームバランス編".

ガストは、3月6日に発売するPS3用ソフト『アルノサージュ ~生まれいずる星へ祈る詩~』について、その情報番組"アルノコネクション"の第2回を、2月14日20: 00からニコニコ生放送で配信する. ※以下、メーカー様からの情報をもとに記事を掲載しております. アルノサージュの情報をお伝えする番組「アルノコネクション」、第2回目となる今回は、「バレンタインデーの夜に贈る! 男だらけのアルノサージュ生放送! 」の内容でお送り致します! 3月6日に発売となる『アルノサージュ ~生まれいずる星へ祈る詩~』の魅力を、主人公のデルタ役を演じた三好晃祐さんを迎えてご紹介! デルタのカッコよさなどを演じている本人ならではの視点で語っていただきます. そしてもちろん、『アルノサージュ』の実機を使ったプレイもアリ!! という盛りだくさんな内容でお届けします! 司会: 納谷僚介(『アルノサージュ』音響監督) ゲスト: 土屋暁(『アルノサージュ』ディレクター)、三好晃祐(『アルノサージュ』デルタ役)、TOKEN 放送時間: 2月14日(金)20時~ 納谷僚介さん土屋暁さん. カプコンから発売中のニンテンドー3DS用アクションゲーム『モンスターハンター4』. 本作を手がけた開発者へのリレーインタビューを掲載する. 『MH4』は、人気のハンティングアクションゲームモンスターハンター』の最新作. 新たな武器種や新モンスター、カスタマイズ可能なオトモアイルー、これまで以上に多彩な登場キャラクターなどが好評を博し、400万本以上を出荷する大ヒットを記録した. ストーリーやキャラについて聞いた前回の『モンハン4』開発者インタビューに続いて、今回はゲームバランスについて質問. ジャンプ攻撃や高低差などの新要素によって、開発のしかたやバランスはどう変化しているのか、開発時にはどのようなことに注意したのかなど、突っ込んだ要素について聞いている. (※インタビュー中は敬称略) 新たな『モンハン』の世界を構築するため生み出された高低差とジャンプ攻撃 ――今回はゲームバランスについてお聞きしていきます. 『MH4』発売から半年経ちましたが、どのような意見が届いていますか? 『MH4』藤岡要ディレクター. 藤岡: オンラインのマルチプレイについての声は多く届いています. オンラインプレイは絶対にやりたかったことなので外さずに入れたんですけど、環境についてはもう少し整えたかったですね. ゲームの内容ではボリューム、やり込み度、バランス面でいい評価をいただいているので、素直にうれしく思っています. 徳田: 開発中から手応えはありました. でも、実際に世の中に出してみないと、"乗り"に代表される立体的な遊びがどう評価されるかわからなかったので、いい評価をいただけているのはうれしいですね. ただ、インターネットのマルチプレイについてはもう少しやれるところがあったというのは、僕も思っています. ――"乗り"という新要素が加わるにあたって、どういった点を意識したのでしょうか? 徳田: まずは、遊んで気持ちいいことと、自分のしたことがきちんとリアクションとして跳ね返ってくることを構築しようと思いました. その部分を構築した後、ゲーム全体のバランスを取るようにしました. 正直、気持ちいいものを用意するのが大変でしたね. ――"乗り"や"ジャンプ攻撃"は、最初からシステムにあったんですか? 『MH4』メインプランナーの徳田優也さん. 徳田: "乗り"や"ジャンプ攻撃"は最初からあったのではなく、藤岡さんから「フィールドを高低差のある立体的な地形にしたい」と言われた時に、「立体的な地形を生かした遊びとはなんだろう? 」と考えた結果生まれてきたものです. 藤岡: まずは、今までの『モンスターハンター』とは見え方が変わることを重視していました. ただ、高低差や段差が加わることによって、ストレスを感じるようなものにしてはいけない... 高低差の概念に縛られて作るのは危険だと思ってました. そのために、ボタンを押して段差を越えるという要素や、飛び降りた時に一旦着地してから動き出すという部分に手を入れました. プレイヤーに段差や高低差を使ったアクションが気持ちいいと思ってもらえるように、一番大事に作り始めたのを覚えています. ――大きな変化を加えながらも、プレイヤーにストレスを感じさせないという部分を大事にされたんですね. 藤岡: "ジャンプ攻撃"は高低差の後に出てきたものです. キャラクターがジャンプして目の前にモンスターがいる時に、ボタンを押してもノーリアクションだと気持ちよくない. そこで、何らかのアクションが欲しくなった. そこから、生理的にやりたいと思える攻撃を入れ込みました. 最終的なバランス調整については、今までシリーズをずっと作ってきたので、どうとでもできるという自信はありました. 徳田: 開発としては、バランスが変わるから新要素を入れないという選択肢は最初からありませんでした. 藤岡: 1回のクエスト中に何回くらいモンスターに乗れるのか、という部分である程度のバランス調整は可能です. モンスターの上に乗ること自体は、決して気持ち悪いことではないと思うんです. ただ、乗ること自体が気持ちいいと感じてもらえないと、そもそもが破綻してしまう. ストレスを感じるものだったり達成感がなかったりするなら、新要素を用意してもまったく意味がないものになってしまうので、そこの調整は必要でした. ――ちなみに、"乗り"や"ジャンプ攻撃"の発案は、以前からアイデアとしてあったんですか? 徳田: "乗り"の原案は、『モンスターハンター3(トライ)』のころです. 当時はモンスターの拘束技を考えて実装したのですが、モンスターがハンターを拘束してくるのなら、ハンター側もモンスターをロープでがんじがらめにして捕まえるような、拘束のシステムがあってもおもしろいと考えていました. ただ、『MH3(tri-)』では実装できなかったんです. "ジャンプ攻撃"のアイデアは、『MH4』でリアクションについて考えていた時に生まれました. ジャンプ中に攻撃した際、単純に大きなダメージを与えるようにするのは簡単なんですが、『モンスターハンター』シリーズはダメージが数値として見えるゲームではないので、モンスターのリアクションがきちんと跳ね返ってくるものにしたかったんです. そこで今回、『MH3(tri-)』で頓挫したプレイヤーからの拘束という要素と組み合わせてみるのはどうだろう、と試してみたらすごくマッチしたので採用しました. 藤岡: 『MH3(tri-)』では定番化してしまったものを考え直したかったんです. 罠を張って、落として、攻撃するといったパターンをもう少し変えて、違う手法もプレイヤーに考えてほしかった. ただ、罠を張る以上のことをなかなか生み出せなかったんです. 『MH4』では地形を変えたかったこともあり、見た目から新鮮さを感じて遊んでもらいたいという意向もありました. 新要素を入れることにより、罠を張るとは違う楽しさ、遊び方が加わったと思っています. ――確かにプレイしていて、『MH4』では罠を張る頻度が減った気がしますね. 定番化された世界を覆すために生まれた新システム. 藤岡: ステージによっては高低差を生かしにくいところがあったり、捕獲で罠を使う必要があったりと要素自体は残しています. そのうえで、罠を使うのか、乗り状態からのダウンを狙うのかという使い分けは、意識させることができたと思っています. ――乗り状態のカメラワークが過去の作品にはなかったので、新鮮に感じました. 藤岡: 乗り状態を入れるにあたって、アクションのテンポを変えたいという狙いもあったんです. 単純でも少しテンポが変わることによって、これまでとは違う"間"ができるんですよ. 乗りでうまい間を作ることができれば、アクションゲームとして成功すると思っていました. ただあくまで割りきられたものではなく、攻撃と同様に"乗り"がナチュラルにつながるように気を付けました. アクションから切り離したシステムや描き方にしてしまうと、僕自身受け入れにくいと感じています. シリーズユーザーも受け入れにくいものになるんじゃないかな、と懸念したので、そこは工夫しています. ――"モンスターハンターフェスタ'13"決勝大会でのタイムアタックの際に"乗り状態"をギリギリまで引っ張りながら攻撃を加えるという攻防を見たのですが、モンスターとの駆け引きがすごくおもしろかったです. 藤岡: 大会では、0.1秒のタイムを縮めるためにモンスターが暴れている間もナイフで攻撃を続けられていました. いくらモンスターが暴れようが、ゲージを一杯にしてしまえばモンスターは倒れ込んでしまいます. 本来であれば暴れている時にはしがみついてもらい、落ち着いた時に攻撃してもらうという作りにしているんですが、攻撃自体はいつでもできるようにしました. そのほうが、大会で見られたように立ち回りに幅が出るだろうと. 徳田: モンスターのアクションによって"乗り状態"時のゲージは、増減に変化が出るように設計しています. 「見極められる人はいるのか」と思いながら設計していたんですが、決勝大会に出場した人たちは、完全に考えてプレイしてくれていました. 藤岡: 今作での新要素をどこまで見極めてくれてるかと楽しみにしていたのですが、大会に出場したプレイヤーたちはしっかり把握していましたね. ――乗っていないハンターも、攻撃でひるまないギリギリのところまで攻めていましたね. 徳田: ちなみになんですが、東京ゲームショウ2012に出展した時は、ほとんどのプレイヤーがティガレックスの咆哮で乗りに失敗していたんです. それを見て、調整に調整を重ねました(笑). インターフェースについても、プレイされた方の反応を見て変更を加えています. Rボタンを押しながらでも攻撃できるようにして、わかりやすく遊びやすくしました. モンスターとの駆け引きが問われる"乗り状態". 成功すればアドバンテージをとれる. 新武器である操虫棍と新要素の融合 ――新しい武器の"操虫棍"は乗りやすい武器になっていますが、これは新要素の乗りを念頭に置いた武器設計になっていたのでしょうか? 藤岡: 乗りだけを意識したものではないのですが、高低差がある以上、その高低差をより生かすことのできる武器があってもいいんじゃないかと思い、ジャンプ攻撃を使える武器にしました. ただ、他の武器でもそういった要素は結構ありますよ. あくまで、操虫棍の立ち位置を他の武器とかぶらないようにしたという作りです. ――なるほど. そう言われると片手剣が乗りやすく、より使いやすくなった印象を受けました. 藤岡: 既存の武器種では、一番印象が変化したのではないでしょうか. 徳田: 操虫棍は地形に依存せずジャンプできるんですが、片手剣は小さな段差を利用して上からでも下からでもジャンプ攻撃を狙えるというように、武器ごとの立ち位置が重複しないことを意識して調整しました. 藤岡: どの武器でも同じように狙っていけると個性がなくなってしまうので、個性を残すのは大事だと思っています. 徳田: 今回いろいろな要素を入れたことで、"遊びの幅"が広がった. それによっての地形を意識した立ち回りに、より個性が出るようになりました. 藤岡: 平らなフィールドだと「操虫棍、頑張ってくれ! 」って思いますからね(笑). そういったメリハリは武器ごとに性能が違うことによって出てくるものだと思います. ――ユーザーのリアクションを見て、決められた武器バランスもあるのでしょうか? 徳田: おおまかなバランスは最初から決めていて、微調整は遊んだ方の反応を見て決めました. 藤岡: 過去の作品から脈々と受け継がれてきた部分でもあるので、それぞれの武器のよさを潰さずに、新たな要素を加えています. ただ「絶対に新しいものを加えよう! 」といった考えはなく、必要なものを加えていくという作り方なんですよ. 例えばハンマーはすごくシンプルで、溜めながらジャンプができることくらいしか加えてないんです. それでも、しっかりとハンマーの立ち位置はできていますから. もう一手何かしたい、という部分で手詰まりになってしまうことが武器としては一番もったいない. そこは直していかないと武器として死んでしまう可能性があるので、そういった点を解消できるように要素を加えました. 『モンハン』開発陣を泣かせたのはやっぱりモンスター ――モンスターについて聞いていきたいと思います. 『モンスターハンター4』で"狂竜化"を導入した経緯を教えてください. 徳田: 『MH3(tri-)』では高難度クエストという冠を付けて難易度の高いクエストを作ったんですが、単純に数値を上げて難しくしたものしか作れなかった. それが僕の中で心残りになっていたんですね. パラメータを上げただけのモンスターは、プレイヤーとしては印象の薄いものになってしまうと思っています. モンスターのアクションや、見た目にも強さが反映されたほうがより伝わりやすいだろうと. 今回、クエストのバリエーションとして亜種まではいかないけど、そういった変化を作れないかと考えていた時、ゴア・マガラの設定を絡めていこうということになりました. モンスターを"狂わせる"という要素を入れることで、変化をスムーズに組み込めると考えたことが導入した経緯になります. 藤岡: 普通のクエストと高難度クエストでメリットとデメリットを比較した時、普通のクエストに何度も行ったほうがいいという考えもあると思うんです. その部分でプレイヤーを迷わせたくなかったんです. そのため、"高難度"と表示されているクエストではモンスターが狂竜化していることを前提として、普通のクエストとは違う素材が手に入る. さらに、そこで入手した素材を使う場所を用意しました. モンスターが違い、特別な素材を入手できるということで、プレイヤーにとってわかりやすくなると考えました. ――今回、高低差が加わったことでモンスターも地形に対応する調整が必要になったと思いますが、苦労されたことはありますか? 徳田: 今までであれば、平面上にモンスターとハンターがいることを想定して、動きや攻撃を考えればよかったんですが、『モンスターハンター4』でハンターがモンスターより上にいるのか下なのか、壁にいるのか空中なのかとバリエーションがものすごく増えました. そのため、それぞれの状況に応じたアクションを取らせる必要がありました. 1つ、チェックに抜けがあるだけでモンスターが動かなくなってしまったり、おかしな挙動をしてしまったりするので、一番最初の構築段階では非常に苦労しました. 藤岡: 『MH4』では今まで以上にプレイヤーがいろいろな行動を選択できるので、プレイヤーをどのように追い詰めるモンスターの動きにするのか、どういうアプローチをしていくのかを考える作業は大変でした. 徳田: 開発中には本当に多くの"落とし穴"にはまりました. フィールドにモンスターを登場させると、固まって動かなくなることもしょっちゅうでしたね. ――ゴア・マガラについて、開発エピソードを聞かせてもらえますか? 難産の末に生み出されたゴア・マガラ. 藤岡: ゴア・マガラはメインモンスターでストーリーにもすごく関係するモンスター. なので、プレイヤーの印象に残りながらも、謎めいた感じのモンスターにしたいと早い段階から決めていました. 徳田: ゴア・マガラは4脚と6脚で動くモンスターなので、脚の使い方を変えることで、アプローチが変わるモンスターにしました. 6脚ではパワフルに動くように意識して作成しています. 実は企画段階では、地形にぶら下がるようなアクションも考えていました. 藤岡: 新しいメインモンスターとして、ユーザーが遊んでいる中で印象に残ればいいと思っていたので、デザインについても尖ったものにさせてもらいました. ――シナリオの時にも話題に出ましたが、ゴア・マガラがシャガルマガへと移り変わるということは、開発初期から考えられていたのですか? 徳田: 今までの作品のメインモンスターは、盛り上がって登場するわりには1回で終わってしまう. それはちょっともったいないなと. 今回、ゴア・マガラをもう1回アレンジして遊ばせるような、1匹で2度おいしい使い方をしたいという話し合いは早くからしていました. そこに、メインモンスターをラストの演出に絡ませてみるのはどうかという流れでしたね. 藤岡: メインモンスターはストーリーの途中に出てくることが多いので、極端に強くしにくいんですね. 当然歯応えを感じさせる強さにするんですが、物語の途中段階で高すぎる壁を用意するのは危険なので、大きな壁にしきれないジレンマがあります. ある程度の遊び心地を用意しつつ、プレイヤーにちゃんと乗り越えてもらえるものにしなければいけないんです. そこで、ゴア・マガラはもともと持っているポテンシャルをすべて出しきれていない設定にしようと思いました. そこで、全力全開になって6脚フルに使ってくるモンスターをもう一度登場させるというふうに固まったんです. 徳田: テオ・テスカトルクシャルダオラが出ることは決まっていたのですが、最初からゴア・マガラをそれらと同等の存在にしてしまうのはちょっと違うかなと. なので、ラストまで絡ませることで同等の強さを持たせようと思ったんです. 藤岡: シャガルマガラが登場するのはストーリーの最後なので、メチャクチャやってもいいんじゃないかと(笑). ――確かに途中の場合、3DSを投げてしまう人もいるでしょうね. 藤岡: アクションゲームなので、いくらパラメータを下げても難しいものは難しいんです. そのため、思い切って難しくないモンスターを作るためにゴア・マガラには二面性を持たせ、後半にも登場できる仕組みにしました. ――なるほど. 新モンスターのコンセプトを教えてください. まずはケチャワチャについて. 藤岡: 今回、地形を新しくして、高低差が加わりました. それによって、プレイヤーに覚えてもらうことがたくさん生まれたんです. そのため、ケチャワチャを狩っていたら自然に高低差を生かした立ち回りが身に付くよう、先生のようなモンスターにしましょうと. ハンターがジャンプ攻撃を狙いやすい場所にケチャワチャが行くように設計したりして、設計段階から指導を意識して調整しました. ――確かに、新要素を学べるモンスターでした. 次はテツカブラについてお願いします. 藤岡: 後半になるとガチンコで強くなるモンスターばかりなので、序盤でプレイヤーが強くなったと実感できるようなモンスターを登場させたかったんです. テツカブラには直線的に動いてもらい、さらに打ち勝ったうれしさを感じてもらえるモンスターになってもらいました. 徳田: ケチャワチャで立体的な空間把握に慣れてもらい、テツカブラでは直線的な動きに慣れてほしいという設計です. 藤岡: これまでに学んだ技術でクリアできることに、解放感があっていいと思いました. プレイ面でもそうですが、次段落への装備を作り、次の流れに乗ってもらうことを意識して設計しています. 徳田: 1頭のモンスターにケチャワチャテツカブラの役割を要求してしまうと、情報過多になってしまうんです. そこで、先生役を彼ら2頭に分担してもらったようなイメージですね. ――テツカブラには、部位破壊したいという衝動も刺激されました. 藤岡: わかりやすく破壊できる部位が正面にありますからね(笑). 真正面からのガチンコをしてもらいたくなるデザインにしています. ――部位破壊といえばグラビモスは、そこまで壊れるんだと驚きました. 藤岡: 固いモンスターなので、少しずつ破壊していくことが遊びになると思って設計しました. ――あそこまで壊れると気持ちいいですよね. それによって、攻撃が通りやすい場所が変化するという攻略にもなっている. 藤岡: 最初はずっとグラビモスのターンなんですけど(笑)、ちょっとずつ破壊することでプレイヤーのターンが少しずつ増えていくモンスターです. 高さにも対応したことで、これまでとは異なる動きをしています. ――ちょっと脱線してしまいました. ネルスキュラの説明をお願いします. 藤岡: 状態異常攻撃を極端に使い、なおかつ二重床を使っていやらしく動くモンスターです. 一方で体力は少ないので、ちょっと我慢して粘り強く立ち回ってもらえれば討伐できるように設計しています. ネルスキュラ以降、いろいろな攻撃を複合して繰り出してくるモンスターが増えるので、このタイミングで毒や睡眠といった状態異常攻撃をしてくるモンスターを入れたかったんです. 序盤での登場になりますが、それまでの勢いで倒してもらえるのかなと(笑). ――初見だとビクッとなるような攻撃もしてきますね. 徳田: シリーズユーザーの方にも装備を作る時間を持ってほしいという気持ちもあったので、変化球的な強さを持たせました. 反面、装備さえ整えばゴリ押しで倒せる強さにしています. 藤岡: ストーリー展開的にも次の装備に乗り換えてほしいという、開発側からのアプローチですね. ――タイムアタックとして挑戦するのは、ややきついモンスターでした. 藤岡: 今回のモンスターハンターフェスタで発表した時に一番いやがられたモンスターでしたね. 「えーーーー!?」という悲鳴が上がっていました(笑). 徳田: ... そりゃそうだろうと予想していました(笑). ――ストーリーの流れで次に登場する新モンスター・ザボアザギルをお願いします. 藤岡: 両生種でありながらサメの骨格を持った強いモンスターを作りたいという、デザイナーの希望を入れたモンスターになっています. それとは別で違うデザイナーが「ブヨブヨしたモンスターを作りたい」とずっと言っていて、検証のアニメーションを作って持ってきたんですよ. それが気持ちよく動いていたので、ザボアザギルにそういう動きもさせてみようということになったんです. 最初の企画段階では、もっとカッコいいモンスターだったんですが(笑)、デブンデブンな動きがあまりに迫力があり気持ちよかったので、足しました. ――モンスターの性質的としては、怒り状態で氷をまとうんですよね? 藤岡: そうですね. 水分を氷に固めるガスを体内に蓄えていて、それを使い厚い氷をまとっています. 怒るとガスがたまりすぎて、ボーンと体が膨らむんです. そのために、怒りが解ける瞬間にデブるんです. ――続いて、ガララアジャラについて. 徳田: 『MH3(tri-)』の時から蛇の骨格を持つモンスターを作りたかったんです. 蛇の骨格だけでなく、音波を出すというアイデアはデザイナーからのアプローチでした. 藤岡: 新たなフィールドが出てくるタイミングだったので、その場所を印象付けるような存在にしました. ザボアザギルをはじめ、他のモンスターもそうなんですが、フィールドを見た時に"このモンスターがいる"という印象を仕込んでいきたかったので、フィールドの特色をしっかりと持ったモンスターにしています. ただ、ガララアジャラは高低差と一番相性がよくない骨格でしたね(苦笑). 姿勢の制御が難しくて、ちょっとした高低差にも苦労させられました. ――確かに、蛇型の骨格は特殊ですね. 藤岡: 地面に対して体がベタっと密着しているので、都合よくクルクル回せないんです. そこで、ちょっとした攻撃だったら首だけで追従させるなど、制御の実験をしています. すごく苦労したんですけど、やってみて発覚したことが多数あり、学ばされたモンスターだったので苦労の甲斐がありましたね. ――それでは、最後にアルセルタスゲネル・セルタスについてお願いします. 徳田: 2匹でプレイヤーを監視する合体制御を搭載しています. 複数のプレイヤーで挑んでもらった時に、2匹が合体しながら複数のターゲットを狙うことで今までとは遊びの感覚が変わる仕組みを『MH3(tri-)』のころからずっとやりたかったんです. どういう外見のモンスターにするかはもめたところではあったんですが、今作でついに実現することができました. 藤岡: デザイナーが、オスを使役するメスモンスターのデザインを上げてくれました. 別々のモンスターを制御することができたのですが、一匹に見えて中身は二匹. さらにそれぞれ別にサーチしてくるようなモンスターを作れないか、悩みに悩んで生まれてきたモンスターです. ――やりようによっては、すごく強いモンスターになってしまう可能性がありますよね. 藤岡: オスは汎用中型モンスターとして出しつつ、終盤にセルタスとしての本気状態を表現したかったんです. なので、ゲネル・セルタスと一緒に出る時にしかしない行動も用意しています. アルセルタス自体は体力が少ないので、早めに倒せると思いますよ. 徳田: 食べられますしね(笑). 藤岡: オスを食べるというのも虫っぽくっていいかなと. 徳田: サブターゲットに"アルセルタスの討伐"を設定していたら、何もしてないのにクリアが表示されて、「あ! 食ったな」と(笑). 即採用しました. (一同笑) 徳田: 実は合体制御は非常に難易度が高くてプログラマーからは、止めようと散々言われました(笑). 色々試行錯誤してもらって何とか実装できてよかったです. プログラマーを泣かせに泣かせたというゲネル・セルタス. ――ちなみに、調整で苦労したモンスターはどれになりますか? 徳田: ゴア・マガラですね. メインモンスターはいつも手がかかるんですが、このゴア・マガラは特に時間と手間がかかりました. 藤岡: 4脚と6脚の差をどのように出すのかとか、狂竜ウイルスでどうプレッシャーを与えるのかなど、多岐にわたるさまざまな点を詰めていきました. やり過ぎたらバランスが崩壊する恐れもありますし、メインモンスターとして意識してもらう必要もある. そこをずっと考えて煮詰めていきました. デザインについてもそうですが、「『モンスターハンター』のモンスターだ」と思ってもらえるように時間をかけて調整していきました. 徳田: メインモンスターは一芸特化にしにくいんです. どんな武器で挑んでも、何度遊んでもおもしろいものにしなければいけない. それでいて核となるもの... このモンスターで何を楽しませるのかという要素をしっかり持たせる必要があるんです. その両立はいつも難しいですね. ゴア・マガラの場合であれば、4脚の時はブレスを主軸にしようとか、6脚の場合は叩きつける攻撃をさせようなど、攻略の核がなかなか決まりませんでした. 藤岡: 変化球すぎるのもダメなんです. 楽しめないとメインモンスターは長く遊んでもらえない. デザインが今までにないものになっているので、モンスターらしい要素を作ったり、見た目とのギャップを埋めたりする作業が大変でした. 手をかけた分よいモンスターになってくれたと思います. モンスターの話で盛り上がるのは『MH』ならでは! ケチャワチャのしぐさをする徳田さん. コミュニケーションの中心になってほしいと生まれたギルドクエスト ――ギルドクエストについてお聞きしたいのですが、今までにない特殊な制御をされていると感じました. 藤岡: 遊びつくした人がどこまで遊べるかというところ... エンドコンテンツを意識しました. てっぺんを感じさせないものにしようというイメージで、どこまででも遊べる仕組みにしたかったんです. それをプレイヤー同士で遊んでもらって、やり込むことでコミュニケーションが広がる. どういったものにすればいいのかを話し合いながら生まれたのが、『MH4』のギルドクエストです. ランダムでクエストが生成され、クリアすればするほど難易度が上がる. 自分だけのクエストを仲間と一緒に遊ぶというのがコミュニケーション要素として非常にいいと思っています. オンラインゲームになるとコンテンツの消化が本当に早くなるんです. その中で、ネットワークにつなぐことでコミュニケーションを取ってもらいながら、どれだけ長く遊んでもらうか、話のネタにどれだけなるかということを考えた時にギルドクエストという形にたどり着いたんです. コミュニケーションの中心になってほしいという思いを込めましたので、難しくて当たり前の設定になっています. ――狙い通りになっているのか、予想外の動きが出ているのか教えてください. 藤岡: クエストの消化スピードはやはり早かったですね. ただ、ようやくギルドクエストを遊んでいる人が増えてきているので、ギルドクエストについての結論はもう少し見てみないとわからないです. チャレンジ要素としてもプレイしてもらっていますし、レアな発掘装備を手に入れるためにやり込んでくれているプレイヤーもいます. いい部分はたくさん持てた要素だと自負しています. ――以前のインタビューで、ネットワークを介しての遊びはプレイヤーに任せる部分が多いとお話されていました. 藤岡: そうですね. 特にこのギルドクエストはプレイヤー任せにした要素です. 「手伝って」や「そのクエストちょうだい」というコミュニケーションがプレイヤー間で自然と生まれていくのが理想でした. 徳田: 普通のクエストは2人でのプレイを基準にしていますが、高難度のギルドクエストは4人で万全の準備をしないと討伐できないくらいの設定にしています. 普段の『MH4』とは違う方向性で用意しているんです. 藤岡: 今後それをどう生かすのかは慎重に見ていきたいと思っています. ――それでは最後に、これを知っているとお得という情報があればお聞かせください. 徳田: 意外にオトモアイルーの設定をしていない人が多いです. オトモアイルーを集めているけど、トレンドを組み合わせていない人がいますね. ちょっと設定するだけでクエストがかなり楽になります. 藤岡: オトモアイルーのトレンドを意識せずにプレイした人がゴア・マガラで詰まってしまい、「トレンドを回復にして、罠やサポートなどのスキルを入れたらイケるのでは? 」と伝えたところ、クリアできたんです(笑). そんな例もあるので、ぜひオトモアイルーのトレンドを意識してください. ――ありがとうございました. ⇒ストーリーやキャラのインタビューはこちら.